スーパーサイエンスハイスクール(SSH)

SSH 現代科学Ⅱ「アプローチ」を,高2理系生徒を対象に実施しました(1)


 6月6,13,20日の3週にわたり,高校2年生の理系生徒が,土曜日の午後,北海道大学の理系研究室を訪問しました。
 興味のある研究室を訪問し,その最先端の研究や研究室の様子を見学する事で,具体的に大学のイメージを掴んでいました。
 また,単なる感想文ではなくレポートを提出することで,課題研究の素養を高める取り組みをしました。

6月6日

  • 渡部直樹 教授(北海道大学 低温科学研究所 雪氷新領域部門)
  •  訪問した低温科学研究所は,科学・農学全分野に渡って低温下での現象研究を行っています。訪問した渡部研究室では,宇宙空間の極低温,高真空状態での様々な分子の生成のメカニズムを研究し,生命誕生の謎を研究しています。生徒は,実験室での様々な重厚な装置の作動原理や製作の苦労話に大いに興味をかきたてられました。最後に,見た低圧での真空放電の色の変化は,遠方で起こっている分子生成の直接の証拠になることを説明され,10万光年の隔たりがあっても研究できることに感銘を受けていました。

  • 小田 研 教授(北海道大学 理学研究院 物理学部門 電子物性物理学分野)
  •  初めに小田教授による講義を受けました。講義ではトンネル効果を利用した「走査トンネル顕微鏡(STM)」の原理について学びました。 STMを用いると結晶の原子の並びを見ることができます。さらに,原子を1つ1つつかんで自由に並べる技術も紹介していただきました。概して高校生向けのわかりやすい説明でした。その後,試料作成室とSTMを使った測定室を見学しました。途中,大学院生に質問する生徒もおり,最先端技術に興味をもったようでした。

  • 北田一博 准教授(北海道大学 理学研究院 生物科学部門 行動神経生物学分野)
  •  訪問した附属ゲノムダイナミクス研究センター東棟は,北大で必要な研究動植物を管理しています。昆虫や小動物,植物などが研究目的に応じて厳密に管理され,参加生徒は研究を成り立たせる前提の大切さに気づかされました。訪問後半は,北田研究室で受精と遺伝子操作の見学,実習です。マウスの精巣と卵巣からそれぞれ精子と卵を取り出し,受精卵の細胞核にDNA操作を行う様子を,直に,あるいは,顕微鏡画像を見ながら理解しました。卵巣から成熟卵を取り出す実習では,ピンセットの正しい使い方を教えてもらいながら悪戦苦闘しました。